ドイツ訪問中のイギリス新首相テリーザ・メイ氏がメルケル独首相と会談後、イギリスのEU離脱を年内に行わないことを対外的に明らかにしました。3225cb79d8595e533fda1c0f35a880ea_m

やはり融和政策か?メイ氏の初の外交

メイ英首相は20日の首相就任後初の外遊先として訪れたドイツ・ベルリンにて、メルケル独首相と会談後、共同記者会見に臨み、欧州連合(EU)からのイギリスの離脱通知を2016年内は行わない方針を表明しました。

メイ氏のイギリス首相就任の経緯については、「イギリス史上2人目の女性首相が誕生。テリーザ・メイ氏に課せられた英国の命運」でもまとめています。

(関連記事)

brexit イギリス史上2人目の女性首相が誕生。テリーザ・メイ氏に課せられた英国の命運

この記事でも書きました通り、世間ではメイ氏の手腕をかつての「鉄の女」ことマーガレット・サッチャー元首相の強靭なスタイルとは異なり、対話を重視する柔軟な姿勢を有するものと見る向きがあります。

今回の訪独後の対応もどちらかと言えば融和的であり、EUに歩み寄る姿勢を示したものとしてとらえられます。

気になるメルケル首相の反応

移民問題で揺れに揺れたドイツ・メルケル首相ですが、イギリスのEU離脱が人の自由な行き来を避けるためのものであるといった一狙いに対して「思うところがある」とする憶測が立つのも自然な見方ではありますが、今回のメイ首相の発言に対しては、一定の理解を示したようです。

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前回の記事「イギリス史上2人目の女性首相が誕生。テリーザ・メイ氏に課せられた英国の命運」でも触れた通り、メイ首相は元々ブレグジット問題に対してEU残留を唱えていた人物ですが、国民投票の結果EU離脱派が多数を占めたことを受け、自身の首相就任後、国民に対しては「離脱は決まったことである。あとはこれをいかに成功させるかが重要だ」と発言していました。

しかし一方でEU側との交渉開始は急がない考えも表明しており、今回初めて、EUの議論に大きな影響力を持つメルケル首相にこうした立場を直接伝えた形になります。

離脱は一朝一夕に行えるものではない。相応の準備が必要

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メイ首相は記者会見で、

「賢明かつ整然とした」EU離脱を実現するためには準備が必要である。

さらに離脱後もEUとの密接な経済的結び付きを維持したい。

メイ英首相

と述べており、今後、英政府が望む対EU関係の在り方を具体化していく考えを示しました。

EUを代表するドイツ側の見解

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こうしたメイ首相の発言を受けて、メルケル首相は英国への一定の配慮を見せました。

交渉が先送りにされると英国と我々との関係性が宙に浮いたまま、事態の解決に一向に迫らない。これは誰もが望んでいないことだ。

EUからの離脱のための準備が十分に行われ、英国の立場がはっきりとするのは皆の利益に値する。

メルケル独首相

このようにメイ首相の歩み寄りの姿勢に対してソフトな対応を示したメルケル首相ですが、一方でメルケル首相は英国に「いいとこ取り」は許さない考えを既に明言しています

世論でもイギリスの早期離脱を求める声も一部にあり、離脱交渉開始後は安易な譲歩はしないとみられます。


参考:メルケル首相が指摘する英国の「いいとこ取り」とは?

イギリスは国民投票げEU離脱が決議されたわけですが、この直接的な原因は「移民問題」にあると言われています。

メイ首相も「人の自由な(すぎる)行き来は時に我が国においてリスクとなる」と明言しており、このことが多くのイギリス国民の共通懸念として根底にあると言われています。

その一方で、イギリスが孤立することで、単一市場と称されるEU市場へのアクセスが困難となり、経済的なダメージを免れ得ないとの指摘もあります。

EU加盟国間での商取引における税制面や法制面での有利さや、豊富な物資・サービス・情報・労働資源の流動的往来で経済が活性化される点をすべて犠牲にするには惜しいとメイ政権にも焦りがあり、こうした互いに相克する矛盾に対して、メイ首相率いる新政権は大きな課題に取り組まなければならないわけですが、果たしてこの「移民問題」と「経済問題」の2大テーマに対して、ドイツのメルケル首相はじめとするEU諸国の首脳陣の間では、イギリスだけ良い思いをさせてなるものか、といった反発があるようです。

(編集部より)

やはりと言いますか、メイ首相はEU離脱問題に対して「たおやかに」接触する姿勢でいるようですね。

いまだブレグジットにくすぶりを残す内政も牛耳っていかなければならない立場にありますので、外交上の失敗はその後の政権維持に大きな傷跡を残すとみての判断だったのでしょう。

会見では「2人の女性が共に働き、英独両国民にとって最善の結果をもたらしたい」と強調したようですが、「女性」であることに何かしらの含みを置いての発言だったのか、EUへの一見歩み寄りとも見せる姿勢がドイツにためつすがめつ探りを入れた結果なのか少々気になります。

とはいえ、これで少なからず英国に関しては年内は波乱要因が少なくとも外交上は目減りしたわけですから、英国のEU離脱問題に対するマーケットの反応も「リーマンショック級」になるとは考えにくいと思います。

なので私の「グローバルウォーターファンド(※)」も大事に育みたいと思います。

※筆者が水資源に関連する投資信託の購入を考えた経緯については、「S&P500指数が史上最高値を更新:高まる米国株式市場への期待」に掲載しています。